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○ストーリー  ※作品の結末が載ってあります。

欲しいものがあれば夢の島へ行け、夢の島にはすべてのものが辿り着く。

大都市東京、クリスマス前の街を人々が行き交う。

主人公のアランは平和に埋もれ、贅沢と欲物に目がくらみ、人間としての生き方を忘れた世の中に爆破テロを実行しようと考え、一人山奥で実験を試みる。しかし、それがきっかけとなり刑事の寺山と野村はこの不可解な火事を捜査することになる。

テロ計画を着々と進めるアラン、捜査をする寺山。ある日2人は神田川の橋の上でばったり会う。

煙草を捨て、去ろうとした寺山だったが、アランに携帯灰皿を差し出され感心する。それからも何度か橋の上で会ううちに寺山はアランに惹かれていく。

寺山は捜査に奔走するが、そんな寺山を尻目にアランはテロを遂行すべく、化学工場に忍び込み爆弾をセットする。しかし、もう少しのというところで警備員に見つかり、アランは無念にも逃走する。通報を受けた寺山は覆面パトカーで現場に向かう途中アランの乗ったバイクとすれ違い、追いかけ、激しいカーチェエスとなる。

アランは命からがらあるライブハウスに逃げ込む。心も体も疲れ果て、自分のしていることに虚しさを感じていたアランだったが、そこで歌う一つのバンドの曲に感動し、息詰まった心が解放される。そして、自分以外にも歌という方法で世界を変えようとしている人達がいることに感銘する。

一方、寺山は化学工場で落ちていた遺留品からアランに疑いを持ち始める。一度は心を癒されたアランではあったが、人々の利己主義的な愚行と地球に対する無関心に再びテロを行う決心をする。

そんなアランを阻止しようとする寺山は必死の捜査を続ける。そして浮かび上がってくるテロの意味と自分たちの罪。寺山はそのメッセージと自分の立場に挟まれ葛藤を抱く。

クリスマスの夜、アランは東京全域の電気を止めるという計画の下、電力指令所に侵入し爆弾を仕掛けるが、血眼で捜査し計画を知った寺山が後ろに立っているのだった。何とかアランを説得しようとする寺山だったが、銃撃戦になってしまい、寺山の放った銃弾はアランの胸を貫く。そして、アランは愛する川に包まれるように汚いドブ川で息を引き取る。

雪も降り出してきたクリスマスの東京、とあるライブハウスのステージに立っているバンド。演奏が始まり、世界中に歌が響きわたるのだった・・・。

レビュー・映画評

「16mm、シネスコ、モノクロという技法も凄いが、演出もアナログ。素晴らしい。ツッコミ所は山ほどあるが、映画的には正しいのだからいいのだ。
カーアクションに歌、アニメーションもあるし、熱いメッセージもある。09年の学生映画…いや、日本映画の収穫。大興奮して劇場を後にする。」
───松江哲明(映画監督)

「社会問題を1人の青年の憎悪によって見る側に共有させることは、難しすぎて自分にはできそうにもないが、それを映画でやろうとした蔦監督の勇気を尊敬する」
───横浜聡子(映画監督)

「黒澤明、岡本喜八、堀川弘通あるいは『バッファロー'66』そして『ウルトラQ』と、この映画は、私の頭の中の映画的記憶を呼び覚ます。模倣ではない、フェイクでもない。再来でもリバイバルでもリメイクでもない。かといってポン・ジュノの黒澤踏襲とも違う。パロディでもなく、アナクロ(時代錯誤)でもない。いや、アナクロである。一体何を考えているのかと思うくらいアナクロである。」
───山川直人(映画監督)

「学生映画の域を飛び出した渾身の力作。NGショットのインパクトに瞠目せよ」
───西村安弘(映画評論家)

「作風があまり好みではなかったが、監督の才気は感じるので今後の活躍を楽しみにしています」
───わたなべりんたろう(ライター/『ホットファズ』公開署名運動主催)

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